BARおくすり店長日記

BARおくすりの店長が日常思ったことを書きます。

2014-01-01から1年間の記事一覧

ティエリ・アンリの現役引退について

先日、フランスのサッカー選手ティエリ・アンリが現役引退を発表した。 一番好きな映画は?と訊かれても、一番好きな本は?と訊かれても、即答することはむずかしい。好きな映画も本もたくさんあるからだ。そんな僕にとって、一番好きなサッカー選手は?とい…

映画の日に見た映画と今年見た映画ベストテン

映画の日に「寄生獣」と「オオカミは嘘をつく」を見た。 「寄生獣」はまあまあ良かった。原作を100とすると1ぐらいはあったんじゃないか。ダメなところは完結編に続いたこと。このテンポで終わるのかなとは思ったけどまさか続くとはびっくりした。 「オオカ…

2014年の邦画No.1「紙の月」を見た

吉田大八監督の「紙の月」を見た。 ネタバレに配慮しながら感想を書くという器用なことはできないし、見ていない人にとってもわかりやすく感想を書くということもしないので、映画を見た人にむけて感想文を書く、とはじめに断っておく。見ていない人に言いた…

いっぱい映画を見た

10月からのひと月はいっぱい映画を見た。レンタル中心にだいたい30本ぐらい。 Filmarksというアプリがおすすめ。見た映画のログを簡単に残せる。 ・映画館 猿の惑星ライジング、まほろ駅前狂騒曲、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ・レンタル メリー・ポ…

NTLのハムレットを見た

ナショナルシアターライブの「ハムレット」を見た。 ローリー・キニア主演、ハイトナー演出。現代を舞台にした劇だった。上映時間は240分(うち休憩時間20分弱)とボリュームたっぷりで、シェイクスピアの戯曲を丁寧になぞっているところに好感をおぼえた。 …

上品な映画と下品な映画

最近、DVDでホット・ファズという映画を見た。イギリスのエリート警官が主人公のコメディだ。この映画はとてもおもしろかったのだが、上品なのか下品なのかでいうと、ちょっと判断しにくいところがある。映画をむりに上品か下品かで分ける必要もないのだが、…

リルケの向こう側

「純粋な詩人」という単純ながらむずかしい言葉を担うことができるのは、ただ一人、リルケだと思う。 リルケは不純なものをしりぞけることをしなかった。彼だけが持っている特別なふるいにかけられて、そういったものは彼の言葉から自然にはなれていった。 …

幻の光を見た

幻の光を見たというと、なんとなくファンシーな気持ちになっているのかなーという感じがある。ファンシーな気持ちというよりはファンキーな気持ちで押して行きたいという願望があるのだが、ファンシーなのも否めない。最近はとくにそうだ。 映画「幻の光」を…

映画を見てひとこと

・オール・ユー・ニード・イズ・キル(劇場) 80点 意外とおもしろかった。と、思ったら監督がダグ・リーマンだった。ボーン・アイデンティティの監督。テンポが良くてノリやすかった。 ・ネブラスカ 80点 アレクサンダー・ペインの新作。映画館で見なかった…

悪霊を再読した

ドストエフスキーの悪霊を読んだ。雑感を自分用のメモとして残しておこうと思う。 今回は再読になる。一度目に受けた印象と同じく、今回も暗い気持ちにさせられたが、一度目に受けた衝撃が二度目ということもあって幾分やわらげられた。 スタヴローギンの凄…

最近見た映画たち

この7月に見た映画をまとめてみる。 ・トランセンデンス 見終わったときノーラン監督にしてはちょっとあれかなと思ったら、クリストファーは監督じゃなかった。やっぱりなと思った。クライマックスが中盤の「> Evelyn?」にある。テクノロジーを脅威として描…

映画ワンダフルライフについて

ワンダフルライフという映画を見た。是枝監督の二本目の長編映画だ。 おもしろかった。 死んだ人が「むこう」へ行くまで一週間のモラトリアムを与えられ、自分の人生のなかでもっとも印象に残った出来事を選択する。それを映像化し、その瞬間の記憶を鮮明に…

私は本気です

「リアル」が無条件に力を持つという状況に対して、僕は抵抗がある。 とはいえそんなものは宇宙の法則からすれば弱い抵抗、弱い嘘にすぎない。 わざわざ宇宙の法則を持ち出すまでもなく、うまくいかない現実を僕は認めたくないのだ。心理学でいうところの否…

『Sunny』を読んだ。

松本大洋の『Sunny』を読んだ。 1〜3巻までは漫画喫茶か何かで既に読んでたんだけど、女の子から1巻をプレゼントしてもらって、それがきっかけでもう一度読んだ。今度は5巻まで一気に読んだ。 この『Sunny』という漫画はプレゼントに適していると思う。…

他人に興味を持つこと

僕の人生の目標のひとつに「他人に興味を持つこと」がある。 他人に興味を持とうとするというのは、一見したところ感心な態度のようでいてその実ナメた考え方である。たぶん他人に興味がある人というのはそんな目標を思いつきもしない。興味を持とうというの…

色が強烈に目に入ってきて何ともうるさい時がある。かと思えば、色が目に入っているのに見えていないようなぼんやりした時もある。色に集中している時とそうでない時には同じものを眺めてもまったく違うもののように感じられる。そう思うと、感じることなん…

絵になる絶望、絵にした絶望

5月は「ブルージャスミン」と「インサイドルーウィンデイヴィス」を見た。 「ブルージャスミン」は元セレブの没落の様子、「インサイドルーウィンデイヴィス」は落ち目のフォークシンガーのツイていない様子をそれぞれ題材にしている。 以下、ネタバレを含み…

「Inside Llewyn Davis」

好きすぎるものについては書けない、と誰かが書いたのを何かで読んだことがある。たしかにそういうものなのかもしれない。でも、好きすぎるものについて書かないでいて何を書くのか、とも思う。まあまあ好きなものについて?そんなのは馬鹿げている。 コーエ…

「南極料理人」という絶品映画について

ひさしぶりにすばらしい映画を見た。こんなにすばらしいと思ったのは「アナと雪の女王」以来だ、というとそんなにひさしぶりでもないけれど、たまさかに「極寒」つながりの「南極料理人」はアナ雪に負けず劣らずおもしろかった。 感情を歌に込めるような劇的…

一流映画(断言)

ファッションショーの何が楽しいのか僕にはわからない。 新奇性というよりは珍奇性に見える流行の最先端、そのほとんどは下々の者達の元へ届く前に消滅しているように思う。カッティングエッジを極めた先に、刃に質量がなくなってもどこ吹く風、そんな姿勢は…

人には人のモチベーション

「精神的に向上心のない奴は馬鹿だ。」 夏目漱石の『こころ』を高校の教科書で読んだとき強烈に印象に残った一節だ。この言葉を符牒のようにして、当時の友人たちとお互い罵り合った。それから十年が経とうとしている。 僕は今、接客のバイトをしている。自…

記憶力

記憶力は人生を豊かにするための重要なファクターだ。 よく言われるのは「イマココ」だ。今、ここにあるものを最大限に味わうことが人生の幸福につながる、みたいな戯言はよく聞く。まあ正論の戯言だけど、正論なだけにたちがわるい。それじゃ片手落ちなのに…

:「実際」に向かって唾する :

はっきり言っておく。前置きはナシだ。 ぐにゃぐにゃでドロドロだと思っているものが、実際には、ふにゃふにゃでペラペラだというときの、「実際には」、僕はこれが憎い。 べつにふにゃふにゃでペラペラでもいいし、ぐにゃぐにゃでドロドロがそれよりもエラ…

たぐいまれなる表現とそうじゃない表現

生活しているといろいろなことが起こる。しかしそのすべて、ほとんどすべてが書くほどのことではなく、瑣末であり、些細であり、ありふれている。 一瞬の映像というか、あとになってから振り返るとほとんどサブリミナル的な印象でしかない出来事で生活のすべ…

パウル・ツェランの詩

どういう言い方をしても伝わらないだろうなと思って暗い気持ちになることがある。よくある。数が多いというわけではないけど、よくある気がする。 こっち側で夜になったら反対側では朝が来る。どうして伝えられないことがつらいのか、伝えられないほど貴重な…

自分のほうを向いて発する言葉について

自分のほうを向いて発する言葉について。 最近、自省録を読んでいる。世界史を勉強した人間にとって、名前の長いことで馴染みがある、マルクス・アウレリウス・アントニヌスが書いた本だ。彼はローマ五賢帝の一人であり史上唯一の哲人皇帝である。そんな人間…

「アナと雪の女王」を見た

これは傑作。 いつものように良かったところをくだくだしく書き立ててもいいんだけど、最近なんとなくそういう文章を書く気持ちになれない。だからよかった、傑作だった、とだけ書いておく。 ダメだ。 文章を書くために気分を盛り上げようとして劇中歌の「Le…

映画「パーマネント野ばら」を見た

吉田大八フィルムはすばらしい。「パーマネント野ばら」を見てその思いをつよくした。 今回の記事はネタバレに配慮しないで書くので、そういうのを気にする人は読まないほうがいいかもね。しかしそれとは関係なくパーマネント野ばらおよび吉田大八監督の映画…

『嫌われる勇気』を読んで

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え 作者: 岸見一郎,古賀史健 出版社/メーカー: ダイヤモンド社 発売日: 2013/12/13 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (4件) を見る 嫌われる勇気といういかにもなタイトルの本を読んだ…

ディープなインプレッションであるところの絶望について

死に至る病 (岩波文庫) 作者: キェルケゴール,斎藤信治 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1957/01 メディア: 文庫 購入: 6人 クリック: 96回 この商品を含むブログ (101件) を見る セーレン・キェルケゴールの「死に至る病」を読んだ。 ディープなインプレ…